何冊よめるかな?

本棚の肥やしと化した本たちを供養するため始めたブログ

1冊目 銀河英雄伝説1〜黎明編

 『銀河英雄伝説1〜黎明編』  田中芳樹 著、読了

 今年は読書に時間を割こうと思う。目標は、1週間に1冊。年間、約50冊だ。

 今年の1冊目は何にしようかと考えていたら、今年、いよいよ「銀英伝」のアニメの新版が放映されることを思い出した。ならば、その前に原作を読んでおきたい。

 原作を読むのは初めてではない。私が「銀英伝」に初めて触れたのは、4〜5年前のこと。旧アニメ版を観た。そのあまりの面白さに衝撃を受け、その後、直ぐに原作(本伝 全10巻)を購入した。だが、今までに全巻は読了できずにいた。

 小説版が面白くなかったから、途中で読むのを止めてしまったわけでは、決してない。当時、私は複数の本を同時に読む習慣があった。そのため、4巻くらいまで読み進めながらも、他の本にも取り組んでいるうちに、だんだん間が開くようになる。すると、頭の良すぎる私は、ストーリーを直ぐに忘れてしまい、途中から再開するということができずに、断念する。そういうパターンを繰り返していたに過ぎない。

 そんな心残りをずっと抱えていたことだし、新アニメ版が放映されるこの機に、原作を全部読み通しておきたいと思い、本書を手に取った。(近年は、同時並行読みを止めているので、今回は読み通せると思う)

 ちなみに、道原かつみ版、藤崎竜版のコミカライズ作品も、いずれも途中までだが、読んだ。アニメは、その後、本伝110話を2回、通して観た。演劇やミュージカル版などの実写版には触れたことがない。

第1巻の主なトピックは、以下の通り。

アスターテ会戦

・同盟軍によるイゼルローン奪取

・アムリッツァ会戦

 物語の内容はおろか、本作品の魅力さえ、もはや説明する必要はないだろう。もし未見の方がいたら、何はともあれ「必見です!」とだけ言っておきたい。

 今はただ、新アニメ版がどうなるか、ということだけが関心事だ。私にとって、旧アニメ版を観る上での、大きな楽しみのひとつに、ヤン一党が交わす、皮肉とユーモアに満ちた会話があった。彼らの間に醸し出される、温かい雰囲気は、新版ではどのように表現されるのだろう。今回、本書を読んでいても、登場人物の姿や台詞は、自然と、旧アニメ版の容姿や声で再現されている。それくらい、原作に馴染んだ旧作を踏まえて、現代のクリエイターたちが、本作をどのように描くのか、とても楽しみだ。

恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。吾々がつぎの世代になにか遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和がいちばんだ。そして前の世代から手わたされた平和を維持するのは、つぎの世代の責任だ。それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和がたもてるだろう。(中略)要するに私の希望は、たかだかこのさき何十年かの平和なんだ。(中略)私の家に一四歳の男の子がいるが、その子が戦場にひきだされるのを見たくない。そういうことだ」(ヤン)

「中尉…私はすこし歴史を学んだ。それで知ったのだが、人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。生命以上の価値が存在する、という説と、生命に優るものはない、という説とだ。人は戦いをはじめるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年、何千年もつづけてきた…」(ヤン) 

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)