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本棚の肥やしと化した本たちを供養するため始めたブログ

2018-21 「ない仕事」の作り方

みうらじゅん 著『「ない仕事」の作り方』読了

 みうらじゅん先生によって著されたビジネス書。

 私は三日坊主で、何ごとも長続きしない。どうすれば長続きするのか、その極意を知りたくて本書を手に取った。

人はよくわからないものに対して、すぐに「つまらない」と反応しがちです。しかし、それでは「普通」じゃないですか。(中略)「つまらないかもな」と思ったら、「つま……」くらいのタイミングで、「そこがいいんじゃない!」と全肯定し、「普通」な自分を否定していく。そうすることで、より面白く感じられ、自信が湧いてくるのです。

第一印象が悪いものは、「嫌だ」「違和感がある」と思い、普通の人はそこで拒絶します。しかしそれほどのものを、どうやったら好きになれるだろうかと、自分を「洗脳」していくほうが、好きなものを普通に好きだと言うよりも、よっぽど面白い 

(天狗も)ゴムヘビもそもそも好きだったものではありません。 すべて、「私はこれを絶対好きになる」と自分を洗脳したのです。

*()内、引用者捕捉

映画館で、鑑賞後のエレベーターのあたりですぐに「つまんなかったね」と、一言で片づける人がいます。それは才能と経験のない人です。映画は、面白いところを自分で見つけるものなのです。

私は仕事をする際、「大人数に受けよう」という気持ちでは動いていません。それどころか、「この雑誌の連載は、あの後輩が笑ってくれるように書こう」「このイベントはいつもきてくれるあのファンにウケたい」と 、ほぼ近しい一人や二人に向けてやっています。(中略)私の場合、そんな「喜ばせたい読者」の最高峰は誰かと言えば、それは母親です。

友達の話を勝手に書いてその友達が怒っても、面白いエロ話を書いて昔の恋人が「あれ、私の話?」と問い詰めてきても、母親さえ許してくれれば、そして「おもろいわ」と言ってくれればそれでいいのです。逆に言えば、母親が嫌がりそうなことだけをやらなければいいのです。 

最初に単発の仕事を頼んでくれた編集者がいたとします。当然、自分の何かを面白がってくれたから依頼が来るわけです。だとしたら、自分のやりたいことはとりあえずさておき、その編集者が喜ぶような仕事をしなければなりません。

 仕事でも趣味でも、日々自分自身にノルマや締切を与えて、もう一人の自分が斜め上からコーチしているような気持ちで実行すると、より一層がんばれるような気がします。 

私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません。「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです。  

不自然なことをやり続けるためには「飽きないふりをする」ことも大切です。世の中に流行った頃には、とっくに飽きています。そこは人間ですから当然です。ただ、「もう飽きた」といってしまうのは「自然」です。人に「え、まだそれやってるの!?」と驚かれるほど続けなければ面白くなりません。  

すべては「グッとくる」ところから始まります。何かを見たり聞いたりしたときに、すぐに好きか嫌いかを判断できるものは、そこで終わりなのです。好きなのか嫌いなのか自分でもわからないもの。違和感しか感じないもの。言葉では説明できないもの。私はそういうものにグッとくるのです。いつかこの、グッときたものを人に伝わるように具現化したい。それが私の仕事のモチベーションです。 

 「キープオン・ロケンロール」言うは易いですが、やり続けることが大切なのです。何かを好きになるというのは、自分を徐々に洗脳して、長く時間をかけて修行をして、対象のことを深く知ってからでないと、長続きもしないし、人を説得することもできないということです。

 「好きこそものの上手なれ」

 このことわざは、正確ではなかった。

 「好きなふりしつづけてこそものの上手なれ」

 これこそ、みうらじゅん先生が説かれた真理なのです。

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方