7冊目 わたしの本棚
中江有里 著『わたしの本棚』読了
母の従姉妹が貸してくれた本。著者の読書体験を綴ったエッセイ。私は、以前から読書感想を、なるべく簡潔に書きたいと思っていた。だが、どう書けばいいのかわからずにいた。本書には24冊の本が取り上げられており、一冊あたりに割かれているのは、約6ページ程度。これは参考になりそうだ、と「銀英伝」を中断して読んでみることにした。(母の従姉妹に返さなければならないので、優先して読んだ)
本書のあとがきに、以下のような文章をみつけた。
本はすべての問題に答えてくれるわけじゃない。人それぞれ抱えている問題は違うのだから、万人に読まれても、解釈が違うのは当たり前。答えを本の中身に見いだしているのは、いつも読む側だ。
(中略)
だけどこうも思う。
たとえ誤読だったとしても、独自の解釈であったとしても、その本が自分を支え励ましてくれたのは事実だ。それでいいじゃないか。
すべての本が、「自分を支え励ましてくれる」ものなのか、私にはわからない。ただ、同じ本を読んでも、読み手ごとに、独自の解釈が為されるというのは、本当にそのとおりだと思う。
私は、「頭のいい人」が好きだ。それは、お勉強ができる、とか、難しいとこを知っている、という意味ではない。私が思う「頭の良さ」とは、自分の考えていることを、他者にわかるように言語化できること、だ。
読書は孤独な作業だ。それにしても、十分豊かな作業ではあるが、その先に、さらに自分には到達し得ない地平、すなわち、「あなたの解釈」という沃野が広がっていることを思うと、その豊かさは計り知れない。
同じ本を読んでも、それぞれの解釈は異なる。あなたはどう読んだのか。それを知りたいと思う。私はどう読んだのか。それを伝えたいと思う。伝えるには、言葉にしなくてはならない。
私の解釈など、取るに足りないものだけど、「あなたの解釈」と照らし合わせるチャンスが来た時のためにも、私は「私の解釈」を言語化できるくらいには、「頭の良い」読者でありたい。
そんなことを思わせてくれた一冊だった。