何冊よめるかな?

本棚の肥やしと化した本たちを供養するため始めたブログ

3冊目 銀河英雄伝説3〜雌伏篇

銀河英雄伝説3〜雌伏篇』 田中芳樹 著、読了

 本巻の主要トピック

・イゼルローン回廊遭遇戦(ユリアンの初陣)

・ヤン、査問会議にかけられる

・第8次イゼルローン攻防戦(ガイエスブルグ要塞ワープアウト) 

  相変わらず、とてもおもしろい。読んでいる間、ずーっとエンターテインされている感じ。ありきたりな感想だが、こんな物語を記せるなんて、著者の頭はどうなっているのだろう。とつい思ってしまう。歴史に造詣が深いということは、読んでいてひしひしと感じる。近年、私も歴史に興味を持つようになったから、そういう面白さも加わって、以前にもまして、この物語りに没入できるようになった気がする。

「三〇歳をすぎて独身だなんて、許しがたい反社会的行為だと思わんか」

「生涯、独身で社会に貢献した人物はいくらでもいますよ。四、五〇〇人リストアップしてみましょうか」

「おれは、家庭をもったうえに社会に貢献した人間を、もっと多く知っているよ」(キャゼルヌ、ヤン)

「……国防には二種類の途がある。相手国より強大な軍備を保有することが、その一であり、その二は、平和的手段によって相手国を“無害”化することである。前者は単純で、しかも権力者にとって魅力的な方法であるが、軍備の増強が経済発展と反比例の関係にあることは、近代社会が形成されて以来の法則である。自国の軍備増強は、相手国においても同様の事態をまねき、ついには、経済と社会のいちじるしい軍備偏重の畸型化が極限に達し、国家そのものが崩壊する。こうして、国防の意思が国家を滅亡させるという、歴史上、普遍的なアイロニーが生まれる……(中略)……古来、多くの国が外敵の侵略によって滅亡したといわれる。しかし、ここで注意すべきは、より多くの国が、侵略に対する反撃、富の分配の不公平、権力機構の腐敗、言論・思想の弾圧にたいする国民の不満などの内的要因によって滅亡した、という事実である。社会的不公平を放置して、いたずらに軍備を増強し、その力を、内にたいしては国民の弾圧、外にたいしては侵略というかたちで濫用するとき、その国は滅亡への途上にある。これは歴史上、証明可能な事実である。近代国家の成立以降、不法な侵略行為は、侵略された側でなく、じつに侵略した側の敗北と滅亡を、かならずまねいている。侵略は道義以前に、成功率のうえからもさけるべきものである……」(ヤンの著述)

「いいか、柄にもないことを考えるな。国をまもろうなんて、よけいなことを考えるな!片思いの、きれいなあの娘のことだけを考えろ。生きてあの娘の笑顔を見たいと願え。そうすりゃ嫉み深い神さまにはきらわれても、気のいい悪魔がまもってくれる。わかったか!」(ポプラン)

「権力は一代かぎりのもので、それは譲られるべきものではない、奪われるべきものだ(中略)私の跡を継ぐのは、私とおなじか、それ以上の能力をもつ人間だ。そして、それは、なにも私が死んだあととはかぎらない……」(ラインハルト)

「ホットパンチをつくりましょう。ワインに蜂蜜とレモンをいれて、お湯で割って。風邪にはいちばんですよ」

「蜂蜜とレモンとお湯を抜いてくれ」

「だめです!」

「たいしたちがいはないじゃないか」

「じゃ、いっそ、ワインを抜きましょうね」(ユリアン、ヤン)

銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)