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本棚の肥やしと化した本たちを供養するため始めたブログ

26冊目 やさしい人物画

『やさしい人物画』 A.ルーミス 著、読了

 絵が描けるひと、楽器を演奏できるひとをうらやましいと思う。私もいつか、絵が描ける人間になれたらいいなと思う。絵画のモチーフにもいろいろあるだろうけど、私は、やはり「人間」を描いたものが好きだし、実際、自分でも描きたいと思う。本書は、人物画の入門書の中でも、名著と呼ばれている一冊らしい。そんなわけで本書を手に取った。

 絵を描いたり、楽器を演奏したり、およそ芸術的な営みって、個人の才能/センスによるところが大きい。そう思っていたし、実際、天才的なひとは存在する。でも、「芸術」の「術」は「技術」の「術」だ。テクニック。技。それは学べるはずだし、実際、知識として伝承されてきたはずだ。

 本書は、人物を描くに当たって、どんなところに注目すべきか、ということを丁寧に解説してくれている。こうすれば不自然じゃなくなるよ、という方法論もたくさんあって、さすが名著と呼ばれるだけのことはある、と思った。

 ただ、繰り返し強調されていたのは、基本的なことだったところが印象的だった。それはつまり、ただセンスがあれば、絵がうまくなれるわけではない、ってことなのかもしれない。

 常に基本に忠実であれ。それは、どんな分野にも言えること。王道。そういうことの重みが、身に沁みる年頃になってきたし、実際、もうオジサンといってもいい年齢なのである。

やさしい人物画

やさしい人物画