何冊よめるかな?

本棚の肥やしと化した本たちを供養するため始めたブログ

16冊目 カラー版 西洋美術史

カラー版『西洋美術史高階秀爾 監修、読了。

こんなはずじゃなかっただろう 歴史が僕を問い詰める(『青空』真島昌利

 そうなのだ。歴史は私たちを問い詰める。問い詰めるというと大げさかもしれないが、現在は近い過去から生まれる。全き可能性の中から、任意の現在が選び出されるわけではない。だから、歴史を学ぶことは現在を学ぶことに他ならないと言える。

現代の芸術は「なんでもあり」ともいえるほど、多様性に満ちている。芸術がこれほどの多様性を獲得するにも、やはり歴史があった。その大きな流れを知りたいと思い、本書を手にとった。

高校では世界史を選択したが、全然興味が持てなかった。そんな私には、いくら興味がある美術領域の歴史であるとしても、古代〜バロック辺りまでは退屈で、なかなか読み進められなかった。でも、まあ、お勉強なのだから、退屈なのは仕方ない。近現代になると、好きな芸術家も増えてきて、楽しく読むことができた。

乱暴にまとめると、前時代の価値観を否定することで美術は発展してきたと言えそうだ。このような否定によるダイナミズムは美術に限らないかもしれない。科学など他の分野にも当てはまるだろう。何れにせよ、歴史が下るに連れ、否定の速度が早くなり、現代に至って、もはや否定に値する強力な権威が存在しなくなった。そして「なんでもあり」になった。だが、「なんでもあり」は「なんにもない」と同義である。

新たな価値観はもはや生み出せないのか?

人間の想像力はすでに限界に達したのか?

仮に全ての表現がやり尽くされたとして、今、表現することに何か意味はあるのか?

などなど、興味深い疑問がたくさん浮かんできた。やはりゲージツは面白い。

カラー版 西洋美術史

カラー版 西洋美術史