何冊よめるかな?

本棚の肥やしと化した本たちを供養するため始めたブログ

15冊目 絵はすぐに上手くならない

『絵はすぐに上手くならない』 成冨ミヲリ 著、読了。

学生時代、ギターがうまくなりたいと思っていた。でも、周囲には教則本とかで学ぶのはカッコ悪いという雰囲気があった。ストリート・ワイズというのか、お勉強をするのではなく、実践の中で体得していくほうがカッコ良い、という雰囲気があった。その結果、もともと才能のない私はあまり上達しなかった。そして、就職すると、そのような価値観が逆転した。何かの技術を身につけるには、やはり体系的に学ぶべきだということを教わった。技術は知識に、知識は技術によって裏打ちされるものだと思い知らされた。

子供の頃から絵を描くのが好きだった。今でも絵が上手に描けるようになりたいと思う。そこで絵を描くという技術についての基礎的な知識を得たい。そんな理由から本書を手に取った。

本書はとてもいい本だと思う。なぜというに、本書は読者の目線に立って記されているからだ。著者は自己啓発本やビジネス書をたくさん読んでおられるのだろうか、本書の読者を突き放さない文章は、その種の書籍に通じるものを感じさせた。例えば「絵がうまくなりたい」っていうけど、「上手な絵」ってどういうことだろう?という前提から話をすすめてくれる。そして、そのとき定義された「上手な絵」を描くにはどうすればいいか、というふうに論を展開してくれる。だから本書は「こう描けばいい」と上意下達に説く教則本ではない。タイトルの通り、小手先の技術で絵を描くことを教えるのではなく、一生をかけて、絵を描くということを通じて自らを磨くための心構えを教えてくれる一冊だった。

絵はすぐに上手くならない

絵はすぐに上手くならない